芋焼酎が好きで、普段からロックで楽しんでいます。
そんな話を周囲にすると、ときどき言われることがあります。
「芋から作っているんだから、結局糖質が入っているんじゃないの?」
確かに、さつまいもといえば糖質を多く含む食べ物です。そう考えるのも自然な気がします。
でも、私が普段飲んでいる本格芋焼酎は、糖質ゼロのお酒です。
ここまでは知っていたのですが、改めて考えてみると、ある疑問が浮かびました。
「そもそも、芋に含まれていた糖質はどこへ行ったんだろう?」
さらに、同じお酒でもビールや日本酒には糖質があります。
なぜこんな違いが生まれるのでしょうか。
40代になって糖質やカロリーも気になるようになったので、今回は公的な成分表や酒造メーカーの資料をもとに、その仕組みを調べてみました。
本格芋焼酎は本当に糖質ゼロなのか
まずは、そもそもの前提が正しいのか確認してみました。
文部科学省が公開している「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、単式蒸留焼酎の炭水化物は100g当たり0gとなっています。
また、霧島酒造の公式サイトでも、本格焼酎は蒸留によって原料由来の糖質が取り除かれることが説明されています。
つまり、一般的な本格芋焼酎が糖質ゼロというのは、きちんと根拠のある話でした。
ちなみに、以前「今日の一杯」で紹介した「虎斑霧島」も、本格焼酎として糖質ゼロが案内されています。
濵田酒造も過去に「海童 祝の赤」を含む本格焼酎について、糖質ゼロを紹介するキャンペーンを実施していました。
ただし、すべてのお酒が蒸留酒だから無条件に糖質ゼロというわけではありません。糖分を加えたお酒や、甘い飲み物で割ったお酒は別です。
芋に含まれる糖質はどこへ行くのか
今回調べていて、一番納得できたのがこの部分です。
本格芋焼酎ができるまでには、大きく分けて「糖化」「発酵」「蒸留」という工程があります。
まず、でんぷんを糖に変える
芋焼酎の原料となるさつまいもには、でんぷんが含まれています。
しかし、酵母はでんぷんをそのままアルコールに変えられるわけではありません。
そこで、麹の働きによってでんぷんを分解し、酵母が利用できる糖へと変えていきます。
次に、糖からアルコールを作る
糖ができると、今度は酵母がそれを利用してアルコールを作ります。
これがアルコール発酵です。
ここまでは、日本酒やビールと基本的に似た仕組みです。
ただし、発酵の段階ですべての糖質がなくなるとは限りません。
最後に、蒸留によって糖質を分離する
芋焼酎の大きな特徴が、この「蒸留」という工程です。
発酵させたもろみを加熱し、発生した蒸気を冷やして液体に戻します。
ここで回収されるのは、アルコールや水、そして一部の香味成分です。
一方、糖質は通常の蒸留では蒸発しにくいため、蒸留釜の中に残ります。
つまり、糖質が全部アルコールに変わったからゼロになるのではなく、蒸留で糖質を含む液体から分離することでゼロになるのです。
私はここを理解して、ようやく腑に落ちました。
芋から作っていても、芋の成分がすべてそのまま焼酎に入っているわけではないんですね。
では、なぜビールや日本酒には糖質があるのか
焼酎の仕組みが分かると、今度はビールや日本酒との違いも理解しやすくなります。
ビールや日本酒は、基本的に「醸造酒」と呼ばれるお酒です。
芋焼酎と同じように糖を利用してアルコールを作りますが、完成するお酒全体を蒸留する工程はありません。
そのため、発酵後に残った糖や、酵母が利用しきれなかった糖質などが製品に残ります。
実際に、文部科学省の食品成分表で比較してみました。
| お酒の種類 | 炭水化物 | エネルギー |
|---|---|---|
| 単式蒸留焼酎 | 0g | 144kcal |
| ビール(淡色) | 3.1g | 39kcal |
| 日本酒(普通酒) | 4.9g | 107kcal |
こうして見ると、同じお酒でも成分には違いがあります。
なお、「糖類」と「糖質」は厳密には異なる言葉です。糖類は糖質の一部なので、「糖類ゼロ」と書かれたお酒が必ずしも「糖質ゼロ」とは限りません。
この点も、お酒のラベルを見るときに覚えておきたいところです。
糖質ゼロなのに、なぜ芋焼酎は甘く感じるのか
ここでもう一つ、気になることがあります。
私はこれまで色々な芋焼酎を飲んできましたが、口に入れた瞬間に甘みを感じるものがあります。
最近飲んだ「海童 祝の赤」も、口に含んだ瞬間に甘みを感じながら、後口は比較的すっきりしているという印象でした。
でも、糖質はゼロ。
甘いと感じているのに、糖質がないのはなぜでしょうか。
調べてみると、どうやら甘みの感じ方は糖質だけで決まるわけではないようです。
香りが甘さの印象に影響する
蒸留すると糖質は残されますが、原料や発酵によって生まれた香味成分の一部は焼酎に移ります。
これらの成分が、芋焼酎ならではの香りや風味につながります。
たとえば「虎斑霧島」について、霧島酒造は華やかな香りと甘みを特徴として紹介しています。
糖質ゼロでも、香りによって甘さを連想したり、風味として甘く感じたりすることは十分に考えられます。
アルコールそのものも味に関係する
さらに興味深かったのは、アルコール自体の味についての研究です。
2005年に日本食品科学工学会誌に掲載された研究では、エタノール水溶液の濃度によって、苦味や刺激感だけでなく、甘味も感じられることが確認されています。
つまり、焼酎の甘みをすべて糖や香りだけで説明できるわけではないのです。
もちろん、特定の銘柄の甘さがどの成分によってどの程度生じているのかまでは、今回の資料だけでは分かりません。
それでも、糖質ゼロと甘く感じることは矛盾しないという点は、とても興味深い発見でした。
糖質ゼロなら太らない?40代として気になる話
ここまで調べて、芋焼酎の糖質については納得できました。
ただし、40代として気になるのは、やっぱりカロリーです。
芋焼酎は糖質ゼロでも、カロリーゼロではありません。
アルコール自体に1g当たり約7kcalのエネルギーがあるからです。
例えば、アルコール度数25%の焼酎を100mL飲むと、純アルコール量は約20gになります。
これだけで、アルコール由来のエネルギーは約140kcalです。
さらに、飲酒による健康への影響はカロリーだけの問題でもありません。
厚生労働省も、飲酒量については純アルコール量を把握し、健康へのリスクを考えることが大切だとしています。
「糖質ゼロだから太らない」「糖質ゼロだから健康に良い」と考えるのは、やはり違うようです。
私は芋焼酎をロックで飲むことが多いので、甘い割り材を加えることはありません。
それでも飲んだアルコールの量が変わるわけではないので、飲みすぎには気をつけたいと思います。
調べてみて分かったこと
今回調べてみて、一番大きかったのは「芋焼酎は糖質ゼロ」という知識に、ようやく理由がつながったことです。
分かったことをまとめると、次のようになります。
- 一般的な本格芋焼酎は、糖質ゼロのお酒である。
- 糖質がゼロになる大きな理由は、蒸留によって分離されるため。
- ビールや日本酒は蒸留しないため、糖質などが残る。
- 芋焼酎の甘みには、香味成分やアルコール自体の味などが関係する。
- 糖質ゼロでもカロリーはあり、飲みすぎには注意が必要。
これまで「芋焼酎は糖質ゼロだよ」と言うことはあっても、なぜそうなるのかを詳しく説明することはできませんでした。
何となく知っていることでも、改めて調べてみると、意外と知らないことがあるものですね。
今回の調査で、普段楽しんでいる一杯の見方が少し変わった気がします。
もちろん、糖質ゼロだからといって飲みすぎていいわけではありません。
これからも量には気をつけながら、好きな芋焼酎を楽しんでいきたいと思います。
身近な疑問を調べてみると、思っていた以上に奥が深いものです。
今後も、普段の暮らしで気になったことを少しずつ掘り下げていきたいと思います。
参考にした資料
今回の記事では、以下の公的資料・メーカー公式情報・研究論文を参考にしました。
- 文部科学省|食品成分データベース「単式蒸留しょうちゅう」
- 文部科学省|食品成分データベース「ビール(淡色)」
- 文部科学省|食品成分データベース「清酒(普通酒)」
- 霧島酒造|本格焼酎は糖質ゼロ・プリン体ゼロ
- 濵田酒造|糖質ゼロ訴求に関する公式発表(2014年)
- 日本食品科学工学会誌|本格焼酎の基本味を識別する脂質膜センサ(2005年)
- 厚生労働省|健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
- 消費者庁|栄養成分表示について
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